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The Forge
December 13

ザ・フォージ: 設定

ゲームの舞台設定は多岐に渡って影響を及ぼすコンセプトです。その扱いは、スタジオごとに、また個々のプロジェクトにおけるチームごとに異なり、その仕組みは、舞台設定とゲームのどちらが優先されるかに大きく影響されます。

私たちの場合は、ゲームと一緒に舞台設定も一から開発しました。そのため、『Steel Hunter』の舞台設定は、1人のライターではなく、ゲームデザイナー、スクリプトライター、パブリッシャー、アートデザイナーから成るチーム全体で作り上げられています。ルービックキューブを完成させるようなもので、ゲームプレイという核を中心にキューブの面を回転させていきます。

ゲームプレイと舞台設定

仮に、新規プレイヤーがゲームを始めたとします。このプレイヤーが目にするものは何でしょうか。

肩にカミソリをつけた8メートルの鋼鉄の兵士が、6メートル48トンの鉄製の熊を襲い、家、車、ガソリンスタンドなど周囲のものは言うに及ばず、ときおり銃撃戦に巻き込まれたドローンも破壊していく…そして、そのすべてが、人の痕跡のない廃墟のような地球で起こります。

プレイヤーはいくつもの疑問を抱くことでしょう。地球で何が起きているのか、あるいは何が起こったのか。人間はどこにいるのか。西暦は何年なのか。この兵士は誰なのか。どうして機械の熊のようなものが存在するのか。画面上のすべてのオブジェクトの背後には、特定の問題への解決策が存在し、この解決策がゲームの舞台設定を形作っていくのです。

いかにしてハンターは生まれたか

当初、私たちは、パワフルで回復力の高いキャラクターが登場するシューティングゲームを作りたいと考えていました。大きなダメージに耐えられるものは、世の中にそう多くありません。機械、建物、重装甲車などが考えられます。それらの候補を検討していって、最終的にたどり着いたのが、大型のロボットであり、当初は「メカ」という用語が使用されていました。

アイデアは非常に満足のいくものでしたが、この"メカ"というコンセプトが唯一問題でした。メカには無機質で、個性と人格に欠ける印象があります。プレイテストの開催中、チームは既により生き生きとした人間由来のキャラクターを求めていました。

しかし、どうすればこれを実装できるでしょう。たとえば、メカをパイロットに操縦させるとか…パイロットはメカの内部にいるべきか、外部にいるべきでしょうか。内部にいる場合、プレイヤーはメカではなくパイロットに自分を投影するため、メカは再び"生命"を失ってしまいます。もしパイロットがクラウドセンターのような施設にいて(映画『マトリックス』のように)、機械を介してメカに接続しているとしたら、プレイヤーはどこに感情移入すればいいか分からなくなるでしょう。こうした考察を経て、人格的な要素は画面上に現れて実際にプレイヤーに操作されるキャラクターで表現しなくてはならないと私たちは理解しました。自分の考えや経験、感情を持ったキャラクターが必要でしたが、それをどう説明すればいいのか、ゲームの舞台設定の枠内でどう実現すればいいのか、当時はまだ思いつきませんでした。

キャラクターのスケール

キャラクターの個性と同時に、スケールやロケーションの面でも工夫が必要でした。私たちは、高さ8メートルの巨大ロボットのような感覚をプレイヤーに味わってもらいたいと考えました。その結果、"はるか彼方の銀河系"での戦闘を諦め、メカを地球に戻すことにしました。これなら、ゲームに登場する車や建物、橋などのあらゆる要素のサイズ感が想像しやすくなるからです。これらのオブジェクトは、プレイヤーの身の回りにある日常的なものであり、プレイヤーはそれらの中でキャラクターのスケールを感じることができるというわけです。

人々はどこに行ったのか

舞台を地球に戻すと、新たな問題が発生します。地球の住民、つまり人間の扱いです。私たちは当初から同じ大きさの相手と対戦するゲームを作ろうと考えていたので、人間はそのコンセプトに当てはまりませんでした。その結果、ゲームプレイに人間は関わらないことになりました。そのため、何かを恐れて地下に隠れたり、地球から逃げ出したりしている必要があります。人類が絶滅するようなシナリオは意図的に避けました。結局、メカを作り、整備し、修理し続ける人間が必要になるからです。

そんな考えから生まれたアイデアが"スターフォール"です。隕石群から発生した未知の物質で、地球上に広がっていったものです。スターフォールを浴びると老化が促進されるため、人々はスターフォールから逃れるために避難を余儀なくされたのです。それから、このコンセプトをさらに展開させました。この物質の悪影響に対して免疫を持つ人間の存在が明らかになったのです。そして、この免疫力を持つ人々が、ある条件下でスターフォールと融合し、自分の人格や記憶… 人を人としている全てのものををメカに宿らせ、メカと一体化することができるとしたら…

こうして生まれたのがハンターです。ハンターと同様、ゲーム内でプレイヤーが目にするものはすべて、このコンセプトから生まれたものです。生存者戦争、企業、報酬… これらはすべて、"ルービックキューブの面"がすべて適切な場所に収まるまで私たちが挑み続る特定の問題に対する解決策なのです。

ある資産でもある謎の物質、スターフォールに覆われた廃墟となっている」

ロードマップでは、この現実を生み出した重要な出来事を明記しています。人類の歴史や最新のニュースについて扱うのは、おそらくここが一番多いでしょう。1つのアクションを導入し、それに対して現実世界がどう反応するかを想像していくのです。

真実味が損なわれないようするのが重要です。明日、4種族の異星人がやってきて、その翌日には地球が戦闘ゲームの舞台と化すというプロットも可能ですが、それはとてもありえないことです。世界はそれほど機敏ではありません。ゆっくりと変化し、新しい状況にも消極的に適応していきます。

地球上のすべての生命を滅ぼしかねない隕石群や小惑星帯、彗星が見つかったケースは、すでに歴史上多数存在します。また、これまで数え切れないほどの終末の予言がありました。陰謀論、暴動や反乱、政府の地下壕、企業の資産保全の試み、生き延びるためにあらゆる手段で戦う人々など、ロードマップに必要なものを選ぶのに十分なリソースがあったわけです。

こうした出来事は初めてではなく、COVID-19のパンデミックはその最新の例に過ぎません。私たちは、極限状態に置かれた人々の行動から、かなり多くのことを学びました。

キャラクターとイベント

幾何学的には、線を引くには2点が必要です。私たちの場合、ハンターのイメージとゲームにおけるハンターの位置づけという2点を、社内のさまざまな部署が連携して設定します。

この段階から、プロットの網が張り巡らされます。誰が誰に何をしたのか、その結果どうなったのか… キャラクターの関係性を表にしていきます。同じ派閥に属するハンターでも、憎み合い、自分の利益のみを追求するパターンも考えられるでしょう。

生存者戦争に参加する目的と動機は、ロードマップとはまた別の問題です。すべてのハンターが自分の目的に沿って行動し、プレイヤーがハンターを選択する際には、それぞれのハンターの歴史や動機を知ることができるようにしたいと考えています。Heartbreakerは、彼女の力と権力を強固にし、さらに成長させるために戦い、Razorsideは彼を信じている反乱軍のために戦っています。

個々のストーリーと世界の出来事は区別して考えられます。社内ではそれぞれ"マイナー"、"メジャー"と呼ばれます。Razorsideが人々のために自らを犠牲にしたり、Trenchwalkerが怪しげな手術を行ったりしたことなどの、キャラクターの人生に起こった"マイナー"な出来事は、そのキャラクターの経歴や他のハンターとの関係に直接影響します。こうした出来事は、ゲームの世界を生命と歴史で満たすだけでなく、ゲーム内でスキン、イベント、報酬といった特別なものを作る機会も与えてくれます。

"メジャー"な出来事は世界全体に影響を与えるものです。そこには当然、すべてのハンターが含まれます。隕石群の第一波、スターフォールの発見、鉱員組合と企業の対立、生存者戦争の勃発… これらはすべてハンターや人々のハンターに対する意識を形づくった"メジャー"な出来事です。

"メジャー"な出来事の中には、生存者戦争が始まった後に起きたものもあります。これまでほとんど話題にすることはありませんでしたが、すでにこうしたイベントのリストは膨大に増えていっています。これらは発売後もゲームの原動力となり、シーズンアップデートやイベント、スキン、グッズなどの形でプレイヤーの目に触れることになるでしょう。

私たちは舞台設定の観点からゲームに取り組みつつ、プレイヤーのさまざまな感情を引き出すような、独特の雰囲気のあるゲーム正解の実現を目指しています。この先も多くの興味深い挑戦が待ち受けています。プロジェクトの展開を追いかけることで、Steel Huntersの世界の魅力あふれるディテールについて知っていただければ嬉しいです。それではゲームでお会いしましょう!